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2010年2月15日 (月)

手抜きですか?島田さん

前回「週刊ダイヤモンド」について悪態をついたが、物理教師さん(ハンドルネーム)のサイト「考える葬儀屋さんのブログ」
http://funeralservice.livedoor.biz/
に適切な批判が掲載されている。
ダイヤモンドさんのアンケートを郵送で送らないと30点-になる、という不思議。通常は回答なしにカウントされるもの。
ファックスによる見積もり調査得点も回答しなければ-25点。
普通はこんな評価はしないのです。
ダイヤモンドさんの調査に不審を抱き答えない企業は低い点数をつけて嫌がらせをする、というジャーナリズムにあるまじき暴挙ですね。

この調査で高得点だから「いい葬儀社」と限らず低い得点だから「悪い葬儀社」とかぎりません。
自分勝手な評価をして、しかも実名掲載ですから、「名誉毀損」で訴えられてもしかたありませんね。

葬祭サービスの評価について前から取り組んでいますが、こんな安直なのが出ると力が抜けます。


「週刊ダイヤモンド」はこれくらいにして、ほんとうはその前に書きたかったのが、これもこちら
http://funeralservice.livedoor.biz/archives/1209225.html
に先を越されましたが
島田裕巳『葬式は要らない』(幻冬舎新書)

島田さんは4冊併行で執筆なさっている、といいますから、私のような遅筆者にはかなわない活発な、旺盛な制作活動です。常々感嘆していますが、この本はいけません。
こりゃ、売らんかなの手抜き作です。
校正もきちんとできていないから「檀家」が「壇家」になっても見過ごされています。
よほどお忙しかったのでしょう。

「はじめに」を読むと
「葬式にあたっての基本的な考え方や態度」について書かれた本がないから書かれたようです。
明らかに私の著作物(『新・お葬式の作法』<これがいわゆるマナー本でないことは読まれた方はご存知なはずだが>、『「お葬式」はなぜするの?』等)を少なくとも1冊くらいは読んだ形跡が見られます。
参考図書としても書いてないので、私の考えは新聞記事くらいで知ったのかもわからないのですが。
私は、少なくともこの本と同じ、読みやすい新書、文庫で書いている、という自負があります。

ま、お世話になっている島田さんだから、これ以上の仁義の問題は言いません。
でも、売れるというだけで手抜きで書いてはいけないですね。

葬儀費用の国際比較は正確にはできません。それに何が含まれているか、また、民族慣習も違えば物価の差があります。
90年代にお役所関係が次のようなデータを出してびっくりしたことがあります。これを島田さんは使っているようなのです。
それによると
アメリカ 45万円(1ドル100.87円換算)、イギリス12.3万円(1ポンド157,3円換算)、ドイツ19.8万円(1マルク66.15円換算)、韓国37.3万円(100ウォン13.59円換算)、そして日本が405万円
とありました。
当時のどの資料を見ても日本が405万円という数字はなく、他の国についてもそれほど信頼できるものではないようです。
しかも日本は香典というシステムが当時は確立されていましたから自己負担額0円というのもありましたし、現在でも自己負担額では平均して50~60万円というところでしょう。
(このデータはあまりに比較基準が不明なので使用してこなかった。今残っているのは私も制作に関係した東京都生活文化局『わたしたちのデザイン―葬送―』(1997年3月)に私が書かなかった箇所にこの引用が出典の明記もなしに書かれたからだ。これを引用したサン・ライフの資料を島田さんは引用している。)

これが島田さんの「葬式は贅沢だ」の根拠です。

「葬式」は法律的には軽犯罪法で妨害を禁止していること、「葬祭」は生活保護法での「葬祭扶助」で、これには「検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭に必要なもの」と定義されているだけです。ま、遺体をいつまでも火葬(埋葬=土葬は法律的に禁止されていないが0.2%程度)しなければ、刑法「死体遺棄」に問われるでしょう。

島田さんは「葬式不要」と言っているのではく、かつて1968年に『葬式無用論』を著した太田典礼が現在の言葉で言えば「無宗教形式の家族葬」的なものを志向したように、「葬式に多額の金をかけること」を批判しているのです。どうも太田典礼の志向するところと島田さんの考えは両者過激な言葉を使用しながら似ているようなのです。

島田さん、「ここ違うよ」というのは「宇宙葬」。遺骨の一部をカプセルに入れ、ロケットで打ち上げ、そのロケットが落下する際に燃えるという方法で、私はかつて「サンデー毎日」の取材に答えて「宇宙にゴミを出すな」と批判したものであるが、宇宙葬は100万円だから通常の葬儀より安い、と言っている部分です。これも遺骨にし、粉骨するまでの費用が入っていないので、とても通常の葬儀とは比較できないものなのです。

島田さんは、葬式を贅沢にさせたのは、ざっくり言えば仏教、特に浄土教で、平等院や中尊寺金色堂など「この世に浄土を」という考えで、それが現在の葬儀の祭壇に繋がっている、というのです。
無関係とは言いませんが、現在の葬儀の祭壇は、葬列、しかも明治の中期以降の寝棺を輿に入れて行列を組んだ葬列が、大正期より都市部で廃され、告別式に代わり、その告別式の装飾壇として輿を模した祭壇になりました。東京では昭和の最初から見られますが、全国的に普及するのは昭和28年以降に問屋さんが全国的に売り出して以降のことです。
島田さんが取り上げる宮型霊柩車。今、人気が衰退し、全国で3割以下の使用率になりましたが、1960~80年代は凄かったです。これも浄土の具現化というより高度経済成長からバブル景気に至る日本人の錯覚が生み出したもののように私は思います。

この調子で書くと尽きないので簡単に書くと、島田さんは高齢化が進み大往生の多い時代に「気持ちのけじめ」をつけることでも葬式は機能していないので「葬式を必要としなくなるだろう」と言うのです。

しかし、これは葬式を通夜、葬儀(式)という点の儀礼ととらえることからきたものです。そして島田さんが決定的なのは一人称の死として葬式を考えている点なのです。
こういう発想がそもそも近代主義であるように思えるのです。
言っちゃうと、島田さんは人の死と葬式を分断して、葬式にある痛切なグリーフをあまり感じていない、というか、割り切っていらっしゃるようなのです。

戒名論は島田さんのお得意な点ですから、触れませんが、はっきり申し上げてそれに目新しいものもなく残念でした。

はっきり申し上げて、島田さんともあろう方が、こんなに手を抜いて「売らんかな」の本を出してはいかんのです。

宮田登という民俗学の大家が岩波新書から『冠婚葬祭』という気の抜けた本を出して売れましたが、これにも私は怒りましたが、島田さん「死を貪ってはいけません」よ。
この本は売れるでしょう。しかし、それは島田さんにとっては恥部を広げるようなものです。




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コメント

私は、昨年末まで千葉の大手葬儀社に勤務していたが、あまりにもほぼ詐欺行為ともとれるご遺族の悲しい時にとんでもない金額を見積もったベテランスタッフの酷い商売を見てこれは酷いと思い、折角、再就職できてよかったと思いきや早々に辞めた。人の冷静さを失い、弱みに付け込んだ葬儀業界にメスを入れるべきと考える。先般のダイヤモンド誌の記事も良く調べたものと考えるが、実態はその何倍もの酷いビジネス実態である。この不景気を利用して人を入れては変え、物を投げ捨てるかのような扱いであり、経営者はなにもせず、ただスタッフに馬鹿だチョンだと言って一人部屋から一歩も出ていかない。受身の仕事だから他のサービス業と違い、死人が出れば、受託して実際のコストの何十倍の請求書を作成し、かといってその裏付けとなるその見積書のコピーを後で見せない。エーバングにしても実際のコストの何十倍の請求し、ご遺族に対して分割で支払わせるという振り込み詐欺と変わらない行為を平然としているのをこの目で見てきたのである。
海外の葬儀社も知っているが、日本の何十分の一以下である。日本の消費者ももっと葬儀業界に厳しく追及しよう。

私は自分の意見と違うからといって上の平成のご意見番さんの意見を削除しません。詐欺行為が実際になされ、それにあなたが加担したのであれば残念です。原価のことを言われましたが、例えばエンバーミング、施設の維持、メンテナンス、担当者、管理者の経費、薬品、消耗品とあり、日本では残念ながらまだ経費が8万円近くはかかります。件数により、それ以上かかることもあります。
米国では施設経費があまりかからないこともあり、また技術者は葬祭ディレクターも兼ねることが多いので、日本円で4万円くらいで棺代は別で提供しています。
私はエンバーミングが普及することで近い将来、せめて8万円程度で提供されるようになればいいと思って、期待しています。
今、実際には12~15万円ですから、実際のコストの何十倍もは計算が違います。事実ではありません。私は内容がわかるのでエンバーミングについては計算できるのですが、一般の従業員は計算できないのではないですか?
批判は結構ですが事実に基づき、私怨ではなく行ってください。

こんばんは。
物理教師です。
ブログを紹介いただきまして
ありがとうございます。
それにしても、この本売れているようですね。
しょうがないんでしょうか・・・

一時期は葬送関係の新書が多かったですね。もう尽きたかと思っていたら、ここにきてまた出始めたようです。先日『お葬式の雑学 ~意外と知らない「死」のマナー~』というのを拝見しましたが、基本知識はもちろん、やはり校正のレベルでがっかりしました(それとも著者の方は正しいと思っていたのかナ?)。その辺りに熱意みたいなものが表れてしまうんでしょうか。

多忙が続き久々に…あの記事には唖然としました。まず、見出しで(おっ)と思い目を通して偏見に満ちた内容にがっかり(*´д`*)
…こうなったら消費者に賢くなってもらわなくっちゃしょうがないか…なんて思ってみたりするんですが…大手の出版社が注意をひいたあげくに偏った内容ですから

平成のご意見番さん
よくもまあ、そこまで珍妙な意見を並べられるものですね(失笑)。
はっきり言います。葬儀社が暴利を貪っているというのは幻想です。
例えば、株式上場している葬儀社の収支を調べることは可能ですから、その数値を分析すれば、真っ当な商いだということが分かります。あなたが勤めていた葬儀社と同じような価格設定だと思いますよ。頭を冷やしなさい。

大体、原価のことを言うなら、例えば喫茶店のコーヒーはどう考えるんですか?原価20円程度でしょう。あなたの理屈だと、それを30円程度で売れと言うのかな?日本中の喫茶店がつぶれちゃいますよ。

平成のご意見番さん
24時間365日真面目に営業をしている葬儀社には迷惑な話です。暴利を貪っているが如くの言い回しには、本当にがっかり致します。この辺が葬儀業界の浅はかな考えたる所以なのかもしれません。
実際に一人部屋にこもって罵詈雑言をいう経営者はいらっしゃいます。但し、全くそういった経営者や幹部だけではないと思います。そういう会社にいない社員もいるということを理解して下さい。
平成のご意見番さんだけの意見を見た人達は完全に誤解して、「葬儀=ボッタクリ」と完全に思い込むと思います。

平成のご意見番さん

>海外の葬儀社も知っているが、日本の何十分の一以下である。日本の消費者ももっと葬儀業界に厳しく追及しよう。

「全米葬儀社協会(NFDA、National Funeral Directors Association)によると、
私費で火葬を行った場合には最大で1000ドル(約9万5000円)の費用がかかる。
また、葬儀の平均費用は約7300ドル(約70万円)だという。」
出典は下。
加州遺体安置所で増え続ける遺体、原因は不況
http://www.afpbb.com/article/economy/2624401/4394896
多分、お布施もなく、日本で高額になっている食事にかかる費用。お布施もないのでしょうね。

但し、今日のブログ紹介の本では、アメリカの場合、葬儀費用総額 444,000円とあるので差額の説明が欲しいところ。

同じく上記本では、韓国の葬儀費用は373,000円とされている。
ところが、「現代葬儀考」(2006年出版)著者柿田睦夫氏の本によれば、「韓国の平均的葬儀費用は約940万ウォン(102万円)とある。
この中に、韓国特有の何日にもわたる通夜での食事にかかる費用やお布施が入っているのかはわかりません。

葬儀に携わる人たちもピンキリで、やはり人を見ないといけないのでしょうが、それも簡単ではないと思います。
ここに情報の必要性が認められるのですね。

例えば棺の値段にしても、原価との比較は大事な視点ですが、倉庫代やそこでの人件費などそこに載せられる数々の費用もあるのでしょう。それらが顧客の納得できるものであればよいのです。
祭壇はどうか、今まで棺の値段に納棺というサービスがついていたのであろうが、これが納棺費用として別に上乗せされたのか?
食事の手配をしてくれているが、そのサービス料が上乗せされるにしてもどのくらいの金額なのかなど、明らかにして欲しい部分はあります。
そうでないと、不満も明らかにできない。

近年、上記紹介の本もそうであるが、葬儀に関する報道が多いが、本当に知りたいところに切り込んだものがないのが不満ですね。
だから高額な出費にかかわらず、漠然とした不満の表明しかできないのが現状です。

あの本は「私は葬式は要らない」ならば良いですよね。書いた私は・・ですから。
活字にして、多くの人の目に触れるものは著者も責任を持たなければならないと思います。
本来は読む側のほうに、情報をきちんと取捨選択する力が必要なのでしょが。
偏った情報が多いせいでそれがなかなかうまくいかない。
一般的・平均の罠が仕掛けられ、私自身の葬儀までその罠にはまっては大変と、遺言を残すことにしました。
私の葬式は一番安いところに頼んでいいよ
お金がもったいないから、迷惑かけてすまないねえ・・なんて書く気はありません。

最近の葬儀関連の情報の殆どが金額金額の文字ばかりと言うのも、もううんざりです。
もっと本当に伝えていかなければならない事が在るのでは・・と思っています。
「お葬式」はなぜするの?を
きちんと読んでほしいものです。
お葬式を安売りしないでほしい・・と
思うのです。

私は元葬儀社を40数年間経営をしてきた人間です。「葬式は,要らない」の題名を見てこれは大変だと買い求め30数日間読み返しました、その結果は「葬式には贅沢は要らない」と間違えたのではないか?買って読んで50数ページに疑問の書き込みをして失敗したと思った。詐欺まがいの題名で買わされてしまった、もう返品が出来ない。東大出の宗教学者が詐欺まがいの本を出す、と思ってよく見たらありました。39ページ女子大の教授(1990年代)をしていたと、教え子が今小学生・中学生の子供を持つ親で所謂モンスターペアレンツ(実態の98%が女性)。この程度の教授に教わった親だからしかたがないですね。達観しました。裏付けの無いことを書く作者か調べて買うべきでした。(失敗)
 人間の死亡率は100%です、生涯の中で遺族にもなると思います、死者に対する経済的価値観は百人百様です。でも著者の島田裕巳氏は偉くなりすぎたのか俺が基準をもとに書いています。
 でも世間の実情は違います、専門業者の団体に属している葬儀業者はいつも「死者の名誉と遺族の立場」を考えて、葬式の終了後に後悔ののこら無い、後ろ指を刺されない様にと心がけて葬儀を施行させていただいています、最後に「心配り有難うございました」と遺族に言われたときの満足感を糧に・・・ただ残念なのは遺族になる人はもう少し葬式の勉強をして欲しいです、テレビを買うのに4・5日間調べ研究をしてから買うそうです、が葬儀はほとんど即決ですから、
 私の物差しでは島田氏は死者の想いはもちろん遺族の心理が何処にあるのか宗教学者でありながら勉強をしていないと推察します。この程度の方が葬式の世界を荒らさないで欲しいのです。葬式専門業者はあらゆる角度から葬式について教授より勉強をしていると思います。最後に教授に「草馬看花」の言葉を贈ります。

実は以前先生の講演を拝聴した過去がございます。
ここで再会するとは思ってもおりませんでした。ご縁に感謝です。

さて、件の島田裕己氏の著書......私も学僧の末席を汚す身であるゆえ、あくまでも中立的な立場で拝読いたしましたが、正直言って同じ学問のフィールドに身を置く者としても残念に思いました。

こういうことを書くと僧侶の単なる反感のように思われてしまうかもしれませんが、とても学者が書く論調ではないような気がします(具体的な反論に関しては先生のブログで敢えて述べる必要もないでしょう。とにかく検証に用いる数字が雑過ぎます)。

そこまで数字に媚びる方だったのかと幻滅しました。

正直、葬式仏教と葬祭業者を踏み台にして印税を稼ぐ所業にも思えてなりません。正直悲しささえ感じますね。

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