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2015年9月12日 (土)

鬼怒川の越水による大洪水

i鬼怒川が越水し、堤防決壊、濁流が茨城県常総市に流れ込み、死者も行方不明者もいまだ孤立して援助を求めている人が多い。

台風17号はその後宮城県大崎市、栗原市でも川の堤防を越水、決壊させた。

その映像が4年半前の東日本大震災の大津波の映像と重なった。
被災地で映像を見た人は悪夢がフラッシュバックする想いだった人が少なくないだろう、と思った。

4年半前の大震災では太平洋沿岸部の人たちを大津波が襲った。
茨城県、宮城県の沿岸部は壊滅的被害を受けた。
今回は内陸部である。
どこにも自然の脅威はあり、災害はいつの時代にも大きな痛苦を与えている。

宮城県の大崎市、栗原市は地震の被害はあったが大津波被害はなかった。
だからといって大震災と無縁だったわけではない。
被災地の火葬場が稼働停止になったため、この両市にある火葬場はほぼフル回転して被災死者の火葬を行った。
この両市の宗教者も付き添ってこれない被災地の宗教者に代わって読経に勤めた。

私の生地は岩手県一関市である(厳密に言えば西磐井郡一関町)。
父が赴任していた先であったので、親戚がいるわけではない。
現在は昔の西磐井郡と言っていた地域が平泉町等を除き合併したため12万都市になったが、かつては人口4~5万の旧城下町であった。
しかし今の規模は旧伊達藩の支藩であった旧田村藩とほぼ重なる。
戦後における一関の変遷は一関市のホームページにある。
http://www.city.ichinoseki.iwate.jp/index.cfm/33,25912,42,html
これを見るとかつての町村が吸収合併され今の行政単位である「市」が成立していく過程がよくわかる。
これは全国の市町村の変遷とほぼ同様である。行政単位としての町村は現在ほとんどない。

少し横道に逸れたが、一関を例にあげたのは、ここが戦後大規模水害を2回起こした地であることだ。

岩手県の盛岡から宮城県の石巻に至る大河川が北上川である。
東日本大震災で石巻で大津波が北上川を遡上し大被害を与えたが、北上川は北上平野を造り、肥沃の大地を形成した一方、氾濫を数多く繰り返し、被害を与えている。

戦後の1947年にカスリン台風、1948年にアイオン台風(占領軍下で台風に女性名がつけられていた)により北上川の支流で一関の中心を流れる磐井川が2年続きで氾濫、大水害を起こした。

47年のカスリン台風(私の子ども時代は「キャサリーン台風」と呼んでいたと記憶しているが、今の記録では「カスリン台風」と書かれている)で最高水位17,58メートルで死者行方不明100名、48年のアイオン台風では最高水位15,58メートルで死者行く不明473名、という2年合わせて約600名の犠牲者を生んだ。

私は生まれたばかりでほぼ記憶はないに等しい。2階に避難し、家族に抱えられて濁流を見たような記憶があるが、これとて後に家族から聞かされた話が記憶のように思ってしまったものかもしれない。

子ども時代、私は家族、地元の人からこの水害の話を繰り返し聞いた。「一関の記憶」は戦争戦後よりも第一に水害の話であった。
そして私たちは水害の結果造られた大規模堤防の空き地で草野球に興じたのが小学生時代の記憶である。

一関の水害でもそうであったが、水害の凄さも語られたが、それによって生命を喪った人たちの話が語り継がれたものである。
生活は戻るかもしれないが、犠牲者は戻らない。

日本の盆についてもそうである。
過去の被災地でとりわけ盆祭りが重要となっているのは死者の記憶を共有する機会となるからだろう。
「祭り」は「祀り」である。
土地によっては「感染症(疫病)による死者たち」を祀るために祭りが定着した。

夏の暑さの中で行われる祭りに影があるのは、祭りが生者だけのものではない、ことを示している。

とりわけ日本の夏は暑い。
それは戦争の記憶を背負っていることにある。

今「安保法案」が立法化されようとしているが、戦争が武器同士で決着するかのような幻覚があるが、多数の軍人だけではなく民間人の生命を奪い、奪われる中で行われ、それがいかなるものかの痛覚が欠けていることにあるように思われる。
「平和」というのは「戦争がない」だけのことではない。
戦後日本は「平和国家」だと言うが、それは戦争がなかった(朝鮮戦争、ベトナム戦争の背後には経済を通じて深く関与したのだが)だけのことである。いのちが大切にされ、それは自国のみならず他国のものも、大切にしてきたか、というならば問題は大きくある。

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