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2017年1月 9日 (月)

突然父は逝った―個から見た死と葬送(11)

個のレベルから見た死と葬送(11

基本としてここに描いたものはフィクションである。
私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。


突然父は逝った

ドーンという音が身体に響いた。

時計を見たらまだ明け方の4時過ぎ。

うめき声のする玄関に急いだ。

父が倒れていた。
頭から血を流しながら。


それからのことはちゃんと記憶していない。


父を抱き起こして声をかけたこと、
救急車を呼んで病院に搬送したこと、
父がストレッチャーで救急病棟に入って行ったこと…


気がついたら手術室の前の廊下のベンチに座っていた。
息子が隣りにいて、私の手を握ってくれていた。


「おじいちゃん、どうした?」

息子は黙って首を横に振った。

父はこのところ病気がちではあった。
でも階下のトイレに一人で行けないということはなかった。
口は少し重く、どもり、不自由ではあったが、家族とのコミュニケーションには何の問題もなかった。


母が5年前に先立ってからは、いっそう寡黙になり、食事以外は自室で過ごすことが多かった。
まったく手がかからない老人だった。


来月
16日で父は80歳になるはずであった。
たまには妹一家も呼んで、賑やかに食事をしようと計画していた。


病院からは寝台車に乗せられ、家に帰り、父を居間に安置した。

朝の8時を少し過ぎた頃、朝陽が頭に包帯をまいた父の顔を射していた。

まだ温もりのある父の頬に私は頬を寄せてみた。

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