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2018年4月に作成された記事

2018年4月30日 (月)

日本の「超高齢社会」の現状を大雑把に説明すると

いろいろなつながりがあるものだ。
雑誌をやめて、毎日新聞の「ひと」に紹介されたのが201611月のことであった。

http://romagray.cocolog-nifty.com/himonya/2016/11/20161112-2e08.html

これを読んだ学生時代の友人が、自分が発行する新聞に、およそジャンル違いなのだが「原稿を書かないか?」と勧めてくれた。

ありがたく書かせていただいた。

そこからまた原稿依頼があった。

 

【テーマ】 仮題「中高年ノート」~家族、年金、葬儀、墓の現代事情~                                   【字 数】 400字詰め×6.0枚=2,400字

 

幅が広い。
年金生活者であるが「年金」についてはあまり書いたことがないので焦った。

そこで、今「超高齢社会」にある日本の現状を、その概略だけでもデータを用いて描いてみようか、と思った。

それほど多くないスペースなので、あまりに概略的で、いろいろ摘まんできた感じになるのは承知していた。

でも簡単に一望できるとすれば、それはそれで便利かもしれない、と思った。

 

取り上げるテーマが幅広いものだから、扱うデータも多く、それだけ手間がかかる。

幸い時間はある。
事務所にいたときは、スタッフに下読みしてもらい、データをチェックしてもらっていたが、今はその点ひとりで仕上げなくてはならないので、その点がいささか心配だが…

 

締切を2日間延ばしてもらって仕上げた原稿がこれである。
Photo

字数の関係でカットした部分と注釈を補い、以下に示す。

 

「超高齢社会」が変えているもの

碑文谷 創

 

■人生90年時代

日本の高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は、最新の2016(平成28)年では27・3%。

今や世界一の「超高齢社会」であり、22年後の30年には33・2%になると推計されている。

 

日本は戦後高度経済成長の初期である1955(昭和30)年には高齢化率はわずか5・3%と若い社会であったが、大きく変わった。

とはいっても高齢化は先進国に共通する傾向である。

 

「平成28年簡易生命表」によれば、生命表上で出生者のうちちょうど半数が生存すると期待される年数である「寿命中位数」は、1955年に男約70年、女約74年であったのが、16年には男約84年、女約90年と著しく伸長した。

 

もちろんすべてが長生きするわけではない。

半分はそれまでに死ぬ。

だが、総じて言うならば「人生90年」時代に突入している。

「平均余命」は、55年には65歳時、男性12年、女14年だったのが、16年には男20年、女24年となった。

 

■高齢者世帯の1世帯あたりの総所得308万円

「平成28年年金制度基礎調査」によれば、65歳以上で公的年金の支払いのない者は14%、受給者でも、平均額こそ151万円であるが、100万円未満が37%もいる。

有業者は6569歳では本人35%、配偶者27%であるが、7074歳となると本人21%、配偶者16%と急低下する。

 

「平成28年国民生活基礎調査」によれば、全世帯の1世帯あたりの総所得平均は546万円であるが、高齢者世帯は308万円と低い。

しかし、1人あたりで計算すると、全世帯平均212万円、高齢者世帯200万円とあまり差がない。

 

また、貯蓄額で見ると、全世帯が平均貯蓄額1033万円、平均借入金額431万円であるのに対し、高齢者世帯は平均貯蓄額1225万円、平均借入金額68万円。

相対的に高齢者世帯が有利になっている。

 

しかし、高齢者世帯でも、貯蓄がない、貯蓄300万円以下を足すと34%になる。

また65歳以上の生活保護受給者は97万人と高齢者の2・86%を占め、全人口に占める生活保護受給者の割合1・67%に比べ多く、格差が大きい。

 

■家族が変容 ひとり暮らしが増える

1986年には、高齢者世帯がわずか6%であったが16年には27%になった。

「平成28年国民生活基礎調査」によれば、平均世帯人員は、60年には4・14人であったが年々縮小。86年には3・22人、95年には2・91人、16年には2・47人となった。

 

世帯構造を65歳以上の者のいる世帯に限定してみると、合計で全世帯の48%の2417万世帯。

その内訳は、単独世帯が27%と全世帯と同程度。

夫婦のみ世帯が最も多く31%。

親と未婚の子のみの世帯が21%、三世代世帯はわずか11%、その他の世帯が10%となっている。

夫婦のみの世帯は将来の単独世帯候補である。

 

誰にも看取られずに死亡する「ひとり死」。

東京都監察医務院の統計等から全国で約3万人と推計される。

 

■要介護者等の7割が80歳以上

介護保険法は97年に制定、2000年から施行された。

老人医療費の増大、介護の長期化、家族が変容し家族介護が困難となり、介護の社会化へ移行。

最新の改正は17年。

 

介護保険法での「要支援」とは、日常生活に支援が必要な状態のこと。

「要介護」とは寝たきり、認知症等で介護が必要な状態のこと。

 

厚労省老健局によれば、要支援または要介護と認定された者の合計は569万人。

うち72万人が6574歳、497万人が75歳以上。

国民生活基礎調査によると、要支援者は30%、要介護者が67%となっている。

 

「要介護者等の年齢階級別構成割合」では4064歳4%、6569歳4%、7074歳8%、757915%、808425%、858924%、90歳以上21%、となっており、明らかに80歳以上から要介護リスクが高まっている。

 

要支援の原因は、関節疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒の順。

要介護の原因は、認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱の順。

 

近年は「介護離職」等、介護者の負担が社会問題を生んでいる。

 

介護者が事業者の場合は13%、別居の家族等が12%、同居者が59%と最も多い。

配偶者が25%、子が22%、子の配偶者が10%、父母やその他の親族が2%、不詳等16%。

介護者の高齢化も問題で、60代が33%、70代が25%、80歳以上も12%いる。

 

 

■増える高齢者の刑法犯検挙者割合

「平成28年の犯罪情勢」(警察庁)によると、刑法犯検挙人員は07年が約36万人であったのが年々減少し、16年は約23万人となった。

だが、65歳以上の者の割合は逆に増加。

07年が13%であったのが16年には21%まで増加。

窃盗(万引含む)が最も多く、暴行、傷害、占有離脱物横領、詐欺、強制わいせつ、脅迫、恐喝、強盗、殺人の順。

万引では検挙人員の45%が60歳以上となっている。

 

80歳以上の死者が6割を超す

80歳以上の死亡者が全死亡者の6割を超えた。

昭和初期であれば80歳を超えての死は全死亡者の5%前後に過ぎず、80の声を越すと「天寿をまっとうした」と言われたものだが、

今では95歳を超えてが「天寿」となった。

 

死亡の場所は、51年には病院等での死が12%、自宅死亡が83%と自宅死が普通であった。

だが、77年に病院等死が51%、自宅死49%と逆転。

16年には病院等死が76%、自宅死が13%、となっている。

近年増加しているのが老人施設での死で7%までになった。

今後は在宅看護・介護の増加もあって老人施設死、自宅死を合わせて2530%近くまで増加する見込み。

 

■「墓じまい」は増えているのか?

最近はテレビ話題で人気の「墓じまい」だが、ほんとうに増えているのだろうか。

 

「墓じまい」とは、これまでの家墓を改葬して、遺骨を跡継ぎ不要の永代供養墓(合葬墓)等に移すことを言う。

改葬数は04年までは年間6万件程度であったのが、15年には9万件に。10年で3万件増加したが、この間死亡者数も100万人から130万人に増加しているし、家族も変容しているので特に多い数字ではない。

 

増加が顕著なのは、遺骨の納骨にあたって従来の家墓形態から3分の1が90年頃より出てきた永代供養墓(合葬墓、合同墓)、樹木葬、散骨(自然葬)といった継承を前提としない葬りに移行していることである。

 

また明確に増加しているのは、地方の墓地で放置される墓。2~3割に迫る勢いだ。

 

超高齢社会は、高齢者の生活、終末期、死、死後の風景を明らかに変えている。

 

 

(注)単独世帯(単身世帯)については一般に「34.5%」と言われる。この数字と違う?という疑問をもたれた方もいよう。
34.5
%とあるのは「2015年国勢調査」の数字で、上に引用したのは「2016年国民生活基礎調査」の数字である。

調査も違えば、前提としているものが違う。

国民生活基礎調査の2015年の「単独世帯」は26.8%である。

2016年国民生活基礎調査」は以下参照。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/02.pdf

 

国勢調査では以下のように記されている。

 

平成27年国勢調査による10月1日現在の我が国の世帯数は53448685世帯となった。平成22年と比べると,1498181世帯増加している。 世帯の種類別にみると,一般世帯数は53331797世帯となり,一般世帯人員は1億 24296331人で,一般世帯の1世帯当たり人員は2.33人となっている。また,施設等 の世帯数は11万7千世帯となり,施設等の世帯人員は279万8千人となっている。

 

 一般世帯数の推移を平成7年以降についてみると,一貫して増加している。また, 一般世帯の1世帯当たり人員の推移をみると,一貫して減少しており,平成22年と比べると2.42人から2.33人に減少している。

一般世帯数を世帯人員別にみると,世帯人員が1人の世帯が1841万8千世帯(一般 世帯の34.5%)ともっとも多く,世帯人員が多くなるほど世帯数は少なくなっている。 平成22年と比べると,世帯人員が2人以下の世帯はいずれも増加しているのに対し, 3人以上の世帯はいずれも減少しており,特に6人以上の世帯は10%以上減少している。

 

国勢調査は「一般世帯」の「1人世帯=34.5%」としている。
国勢調査では

世帯の種類 国勢調査では,世帯を「一般世帯」と「施設等の世帯」の2種類に区分している。

「一般世帯」とは,「施設等の世帯」以外の世帯をいう。 

「施設等の世帯」とは,学校の寮・寄宿舎の学生・生徒,病院・療養所などの入院者,社会 施設の入所者,自衛隊の営舎内・艦船内の居住者,矯正施設の入所者などから成る世帯をいう。

と定義している。

あくまで施設等の世帯を除く一般世帯についてのデータである。

 

「平成27年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon1/pdf/gaiyou1.pdf

 

なお将来推計とされるのは国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口・世帯数」で、こちらは国勢調査の概念での「一般世帯」を対象としたものである。

『日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018(平成30)推計)

http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/t-page.asp

 

データを引用する場合、「単独世帯」「単身世帯」「1人世帯」と言葉の意味は同じであるが、引用によって概念、調査が違っていることに留意する必要がある。

 

放置墓についての一例

http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2015061900001.html

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3562/1.html

2018年4月15日 (日)

遺族のケアで考えるべきこと 「死別」ということ―葬祭サービスとは何か?③

「葬祭サービスとは何か?」の第3回である。
第1回は、「葬祭サービスの歴史的文脈」
http://romagray.cocolog-nifty.com/himonya/2018/03/post-6f10.html
第2回は、「死者・遺体の尊厳を守る」
http://romagray.cocolog-nifty.com/himonya/2018/03/post-963f.html

■「遺族ケア」の文脈

日本の葬儀で「遺族のケア」が課題になったのはそんなに古いことではない。
1990年代以降のことである。
特に米国から「グリーフワーク」、「グリーフケア」という言葉が紹介されてからである。

米国では、特に戦後のサナトロジー、デススタディ(死学、A・デーケンが日本に「死生学」と紹介)の研究成果がもたらしたものである。

日本では85年前後より終末期の患者のケアが注目され、WHOが全人的な患者のケアと並べて、「家族のケア」の必要性を提唱したのが1990年。

家族は患者との死別という大きな出来事を体験し、死後は「遺族」となって生きる。
医療は患者の死によって終わるが、「遺族のケア」の必要性は終わるわけではない。

終末期医療で「家族ケア」の必要性は説かれたものの、看護師の看護業務の多忙から充分なされていないのが今も実情である。
しかし、これを気にかけている看護師は少なくない。
死による退院後、これを気にかけ、病院の業務としてではなく看護師個人が休暇をとり葬儀に参列するケースも見られる。
そして各地の死別者(配偶者の死、子の死、自死による家族の死等)の会に関心を寄せ、参加する看護師は少なくない。
彼らがいなければ日本のグリーフケア活動はずっと遅れていたであろう。

■遺族ケアに着目していた人たち

ではその前にこの課題に注目はされていなかったのか、というとそうではない。

葬儀というものは2つの面をもつ。
死者と近親者を中心とした葛藤、交流という「内面的部分」と死者を送る儀礼・行事という「外面的部分」である。

葬祭業従事者の業務は、当初はあくまで「外面的部分」の支援、つまり葬具の提供や祭壇等の設営、葬儀の運営ということにあった。
しかし、遺族と接する現場の担当者レベルでは、一部で(けっして主流ではなかったが)、この「内面的部分がもたらす問題」はいやがおうにも直面せざるを得ないものとしてあった。
遺族のことを親身に考えればそうなる。
「ご遺族は身を挺しても守らなくてはいけない」と自らの仕事を深く自覚していた人を私は幾人も知っている。

葬儀に内面的部分と外面的部分があることはある意味で常識である。
しかし葬祭業者が葬儀を全面請け負うことになり、「葬儀」と言えば外面的部分だけを意味する傾向を強くするようになった。
現在の「直葬」「一日葬」「0葬」「家族葬」…の議論は、葬儀の外面部分の議論になってしまっていて、この議論の発展性のなさは、葬儀をあまりに外面的部分にのみ着目していることからきている。

■習俗としての遺族ケア

習俗ということで言うならば、四十九日が深く定着したのは何も仏教が教えたからだけではない。
死別を受容することがいかにたいへんであるか、ということへの共感が強くあったからだ。

四十九日はインド発祥であるが、49日とは言わず、20日、30日と長さはそれぞれだが、世界各地で死後の一定期間を大事にする慣習は少なくない。

四十九日、百か日、一周忌…という儀礼が重要なのではない。
近親者が死別という事実を受け容れることの困難さをそれぞれが体験しており、それが深い共感に支えられていることが重要なのだ。

もとより死別は固有であるから、人によって喪の期間は異なる。
死後7日間過ぎたから、30日、50日、3カ月、1年、2年過ぎたから「喪は終了」、とは言えない。
子を亡くした親の喪は10年経ってもあけることがないのはよくあることである。

僧侶のなかには「何もグリーフケアなどという横文字を出さなくとも、寺では長年大事にしてきた。四十九日に代表される法事もそう、盆もそう、特に最初の盆である新盆は特に重要視される。春秋の彼岸もそうである」と言う者がいる。

確かにそうだ。
しかし、僧侶がそれらを習慣行事としてではなく、個々の檀信徒に向き合って真剣に営んできたかが問われるだろう。

■「死別」の関係性

死別の悲嘆のことを英語ではグリーフという。

もとより死別の悲嘆だけがグリーフではない。
一般の悲しさよりも心を深く傷め、裂くような悲嘆がグリーフで、死別のみならず失恋、離婚、失業、離別その他大きな心の傷みで体験する。
とりわけ死別が代表的とされているのは誰でもが避け得ない出来事であるからだ。

死別の悲嘆は深く関係していた者と死によって分かたれることによって発生する。
関係の薄い者と死別しても発生しない。

また関係は深いが長寿であるとか長い闘病の結果でむしろ死が本人にも平安をもたらすだろうと納得を得られた場合には静かな死の受容がある。

日本では高齢化が著しく進み、80才以上での死亡者が死亡者全体の6割を超えた。
その結果、悲嘆が強くない葬式が増加している。

大正、昭和前期であれば、長寿は80才以上を言い、その場合には長寿を寿ぐようなお祝いとして葬式が営まれることもあった。
だが、近年の葬式は、家族の解体、親戚関係が薄くなったこともあり、高齢になればなるほど会葬者も少なく、遺体処理的な葬式が増える傾向にある、というまた別の問題を抱える。

現状は、「血縁」という理由だけで死者と心的に近い関係とは必ずしも言えない。
家族の変容・解体は進行中である。
およそ6~7割の人は「家族」に親和的、プラスイメージをもつであろうが、3~4割はそうではない。

親族がいて遺体の引き取り手がいない人は2010年のNHK無縁社会プロジェクト調査では3万1千人だった。
おそらく2018年現在はその数は6万人を超えるのではないか。
※単独世帯で看取られずに死亡し、死後数日、数週間経過して発見される「ひとり死」が増加している。東京都監察医務院等のデータから推計すると年間3万人程度と思われる。

必ずしも遺族=死別悲嘆者とはいえない。
また、同じ家族のなかでも大きな温度差がある。

■死別の悲嘆の固有性、多様性

死者と心的に深い関係性をもつ者が死別により深い悲嘆を体験するのは病気ではない。
人間として極めてあたりまえのことである。

昔の葬式で「喪主だからひとさまの前で泣いたり取り乱したりせず気丈に振る舞うように」と奨励することがあった。
だが、それは葬式を外面的な儀礼としてのみ理解して、葬式の本質が死別に伴う作業という内面的部分にあることを忘れ、また死別の悲嘆を第三者が甘く見ての誤った理解からであった。

死別の悲嘆は多様である。

近親者の死はほとんどの人が体験する。
いくつかの類型に分けることは可能だが、関係が個々である以上、死別の悲嘆も個々で異なる。
「私の父が死んだときは…」と一般化することができない。
多くの人が間違うのは、自分の体験した少数の事例をもとに他人の死別を類推してしまうことによって発生する。

配偶者の死の場合でも、その2人の歴史、家庭環境、発生状況、そもそもの関係性等によって大きく異なる。
配偶者の死ということだけで簡単に類型化できない。

基本的に人は個々によって生は異なる。
同じように死別も個々によって異なるのだ。
表象も、涙、怒り、無気力等さまざまである。

人間は他人の死に対しては存外冷淡である。
簡単に了解してしまう。
あの約2万人の犠牲者が出た3・11東日本大震災は死の過酷さを喚起させる大きな出来事であった。
だがその時でも例外ではなかった。
同じ被災地であっても凄まじい温度差があった。
同じ被災地であっても、犠牲者を抱えた人とそうでない人との間には凄まじいまでの温度差があった。

■グリーフケアの限界

近年、葬儀において葬祭従事者の役割としてグリーフケアが注目されるようになった。
葬儀の内面的部分において死別が基本にあり、個々の遺族の支援は死別の悲嘆に無理解であっては不可能である。

しかし誤解してはならないのは葬祭従事者の行えるケアはささやかなもので、せいぜい個々の死別者の自らなすグリーフワークを邪魔しないことだ、ということは理解しておくべきだろう。
最も効果があるのは家族同士、友人である。

但し、誰の支援も得られない人も増えている。
少しの気づき、配慮が葬儀支援で大きな差となることもある。

(注)
「グリーフ」については何度か書いているが、私が書いてまとまったもので、ネットで見られるものには、2003年と古いが、次のものがある。
「グリーフとは何か?」
http://www.sogi.co.jp/sub/kenkyu/grief.htm

2018年4月 1日 (日)

『葬儀概論』四訂第2刷、『解題 葬儀概論』改訂版ができました

『葬儀概論』4訂2刷 2018年3月30日発行

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『葬儀概論』の初版は1996年4月、改訂版が2003年5月、大幅に増ページした増補三訂版が2011年4月、四訂版が2017年4月に出した。

大きな改訂は4回であるが、毎年最新データに入れ替えたり、小さな修正、追加を行っている。

今回四訂版の第2刷を出すにあたっても微修正を行っている。大きいのは第10章関連法規とその解説で死体取扱規則を死因・身元調査法に差し替えた点である。

結果としては微修正であるが、見直しを全ページにわたって行っている。基本は該当ページを変更しない条件で行っている。ページ数の変更をよぎなくされるものは、表現を多少いじり、次の改訂版に持ち越す。
辞書を編むような地道な作業である。
膨大な索引もやり直す。用語数が増えているがページ数は変更しないので、デザイナーには苦労を掛けた。

『葬儀概論』には何が書かれているか?

『葬儀概論』は、葬祭ディレクター技能審査のテキストとして作成したが、葬送について学ぼうとする人々にとっては欠かせないもの、と自負している。
葬送の歴史を古代から現在までを記述しているのは本書しかない。
その内容をあるものは大きく、あるものは細かく以下示す。

第1章 葬儀の意味

第2章 葬儀の歴史

(資料)死と葬送の日本の歴史年表、葬儀の起源、日本の古代の葬送儀礼、古代の葬儀観、厚葬から薄葬へ、御霊信仰、天皇の葬儀と仏教、法華三昧と常行三昧、(略)、明治維新と神仏分離、近世・近代の火葬の歴史、明治時代の葬儀、戦前までの葬儀、戦後の葬儀、現在の葬儀事情

第3章 死とその環境

死の環境(臨終、死の場所、死亡者数の推移、増える65歳以上人口、高齢者の死の割合の増加)、死の判定と死因調査(死の判定、「脳死」の問題、死亡診断書と死体検案書、死因調査、監察医制度、行政解剖と司法解剖、死因、自死、葬祭業者は法的に死が確定しないと遺体を取り扱えない)、遺体と公衆衛生

第4章 葬儀の実際

臨終、受付、遺体の引き取り・安置、打ち合わせ、見積、枕飾り、枕経・遺体処置・納棺、設営、幕張、飾りつけ、通夜、葬儀、司会進行、接客・誘導、出棺、火葬、葬儀後の会食、撤収、請求・集金、アフターサービス、法要、事前相談

第5章 葬儀の知識

死亡記事・死亡広告、告別の方法(焼香、献花、玉串拝礼、宗派による焼香の違い、等)、香典、返礼品、霊柩車、棺、祭壇(祭壇の原型と変遷、祭壇の位置づけ、等)、葬具、戒名(法名・法号)、布施、仏壇・仏具、墓(墓石の形態、墓埋法に規定された「お墓」、埋葬(埋蔵)、改葬、墓地の分類、使用権、お墓の承継、埋骨方法、散骨、樹木葬・桜葬)、死後の手続き、相続、遺言、相続税、遺体の海外移送、海外の葬儀事情、葬儀と習俗、葬儀の生前準備、顧客獲得システム、グリーフワーク

第6章 社葬・団体葬

第7章 日本の宗教の概要

日本の宗教団体概要、神道(神道、神社神道、教派神道)、仏教(仏教の歴史、奈良仏教系、天台宗系、真言宗系、修験道系、鎌倉仏教、浄土宗系、浄土真宗系、融通念仏宗、時宗、日蓮宗系、臨済宗、曹洞宗、新教派系)、キリスト教(キリスト教の歴史、日本への伝来、現在日本のキリスト教)、諸教(諸教の概念、諸教の概要)

第8章 宗教儀礼

神葬祭、天台宗の葬儀、真言宗の葬儀、浄土宗の葬儀、浄土真宗の葬儀(浄土真宗の葬儀の意味、臨終と通夜、本願寺派の葬儀式、大谷派の葬儀式)、臨済宗の葬儀、曹洞宗の葬儀、日蓮宗の葬儀、カトリックの葬儀、プロテスタントの葬儀、天理教の葬儀、金光教の葬儀、友人葬

第9章 葬祭サービスと葬祭ディレクター

事例研究、事例からの教訓、葬祭サービスとは何か?、葬祭ディレクターの倫理

第10章 関連法規とその解説

墓地、埋葬等に関する法律、感染症法、船員法、医師法、戸籍法、軽犯罪法、刑法、刑事訴訟法、死体解剖保存法、献体法、警察官等が取り扱う死体の原因又は身元調査等に関する法律、行旅病人及び行旅死亡人取扱法、臓器移植法、貨物運送事業法、生活保護法、割賦販売法、都市計画法、建築基準法、民法、消費者契約法、景品表示法

多くの書物、情報、協力があったからこそまとめることができたことは言うまでもない。
各章末の参考文献は直接参照しなかった文献以外にも注目すべき文献を示しているので用途は広いだろう。


『解題 葬儀概論』改訂版 2018年3月30日発行

『解題 葬儀概論』は2014年に初版で以後は手を一切加えていなかった。
これは『葬儀概論』の増補三訂4刷をベースにしていたが、今回は四訂2刷をベースに改訂を行った。

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これは葬祭ディレクター技能審査の学科試験用のテキストで、過去問題を単に〇×で覚えるのではなく、文脈で学習できるようにと、問題解説を主として葬儀概論の該当箇所、場合により複数個所を提示して行っているもの。
今回は問題を一部差し換え、問題解説を充実させている。
学科試験対策としては極めてていねいにできているはずである。

これを作った経緯は、
試験問題には重要項目がある。
過去出題のも含まれることがある。
そのままの場合には正解率は著しく高いのだが、同じ内容を出題形式をほんの少し変更しただけで、正解率が著しく低下する現象を憂えてであった。

知識を文脈で理解しないと、本当の知識を身に着けたことにはならない、という危機感からであった。

『解題 葬儀概論』は私の手作りである。
ワードで文書を作成したものをpdfのプレス品質に変換し、印刷会社に直接渡す。
そのため素人感満載であるが、内容的には不足はない。
最後の修正まで自分で操作している。
自分で最後までする、というのは欠点もある。
打ちミスもあるからだ。
すべてプリントして校正はするのだが、どうしても客観視に欠ける点が残る。

『葬儀概論』は毎年の受験者が新たに購入してくれればいいのだが、そうはいかない。
旧版を先輩から譲られて受験する人もいる。
前回の大幅改訂が2011年の増補三訂版であるから、『解題 葬儀概論』(改訂版)の末尾に約4ページの「4訂版以降についての補遺」を加えた。

『葬儀概論』はB5判360ページ、『解題 葬儀概論』はA4判168ページに及ぶ。
したがって作業中は手元のインクジェットプリンターが凄まじく働く。
紙の消費は膨大である。
今年は画面上で赤字を入れられるSurface Proにパソコンを換えて紙消費を少なくしたが、それでも最後は紙での確認になる。

葬祭ディレクター技能審査は1996年の第1回から2016年第21回まで関係し、今は引退しているが、テキスト作成には著者としての責任をもっている。
次の世代に引き継ぐまで残された時間は多くない。
自分の頭がどこまで機能してくれるか、にかかっている。

★『葬儀概論』『解題 葬儀概論』の求め先

葬祭ディレクター技能審査協会
〒105-0023東京都港区西新橋1-18-12 COMS虎ノ門6F
電話 03-6206-1281 Fax 03-3500-4212
〒108-0075東京都港区港南2-4-12 港南YKビル4F
電話 03-5769-8704 Fax 03-5769-8702

なお『葬儀概論』は定価10,258円、『解題 葬儀概論』は定価3,000円となっている(送料別)。


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