« 遺族のケアで考えるべきこと 「死別」ということ―葬祭サービスとは何か?③ | トップページ | 訃報 太田宏人さんのこと »

2018年4月30日 (月)

日本の「超高齢社会」の現状を大雑把に説明すると

いろいろなつながりがあるものだ。
雑誌をやめて、毎日新聞の「ひと」に紹介されたのが201611月のことであった。

http://romagray.cocolog-nifty.com/himonya/2016/11/20161112-2e08.html

これを読んだ学生時代の友人が、自分が発行する新聞に、およそジャンル違いなのだが「原稿を書かないか?」と勧めてくれた。

ありがたく書かせていただいた。

そこからまた原稿依頼があった。

 

【テーマ】 仮題「中高年ノート」~家族、年金、葬儀、墓の現代事情~                                   【字 数】 400字詰め×6.0枚=2,400字

 

幅が広い。
年金生活者であるが「年金」についてはあまり書いたことがないので焦った。

そこで、今「超高齢社会」にある日本の現状を、その概略だけでもデータを用いて描いてみようか、と思った。

それほど多くないスペースなので、あまりに概略的で、いろいろ摘まんできた感じになるのは承知していた。

でも簡単に一望できるとすれば、それはそれで便利かもしれない、と思った。

 

取り上げるテーマが幅広いものだから、扱うデータも多く、それだけ手間がかかる。

幸い時間はある。
事務所にいたときは、スタッフに下読みしてもらい、データをチェックしてもらっていたが、今はその点ひとりで仕上げなくてはならないので、その点がいささか心配だが…

 

締切を2日間延ばしてもらって仕上げた原稿がこれである。
Photo

字数の関係でカットした部分と注釈を補い、以下に示す。

 

「超高齢社会」が変えているもの

碑文谷 創

 

■人生90年時代

日本の高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は、最新の2016(平成28)年では27・3%。

今や世界一の「超高齢社会」であり、22年後の30年には33・2%になると推計されている。

 

日本は戦後高度経済成長の初期である1955(昭和30)年には高齢化率はわずか5・3%と若い社会であったが、大きく変わった。

とはいっても高齢化は先進国に共通する傾向である。

 

「平成28年簡易生命表」によれば、生命表上で出生者のうちちょうど半数が生存すると期待される年数である「寿命中位数」は、1955年に男約70年、女約74年であったのが、16年には男約84年、女約90年と著しく伸長した。

 

もちろんすべてが長生きするわけではない。

半分はそれまでに死ぬ。

だが、総じて言うならば「人生90年」時代に突入している。

「平均余命」は、55年には65歳時、男性12年、女14年だったのが、16年には男20年、女24年となった。

 

■高齢者世帯の1世帯あたりの総所得308万円

「平成28年年金制度基礎調査」によれば、65歳以上で公的年金の支払いのない者は14%、受給者でも、平均額こそ151万円であるが、100万円未満が37%もいる。

有業者は6569歳では本人35%、配偶者27%であるが、7074歳となると本人21%、配偶者16%と急低下する。

 

「平成28年国民生活基礎調査」によれば、全世帯の1世帯あたりの総所得平均は546万円であるが、高齢者世帯は308万円と低い。

しかし、1人あたりで計算すると、全世帯平均212万円、高齢者世帯200万円とあまり差がない。

 

また、貯蓄額で見ると、全世帯が平均貯蓄額1033万円、平均借入金額431万円であるのに対し、高齢者世帯は平均貯蓄額1225万円、平均借入金額68万円。

相対的に高齢者世帯が有利になっている。

 

しかし、高齢者世帯でも、貯蓄がない、貯蓄300万円以下を足すと34%になる。

また65歳以上の生活保護受給者は97万人と高齢者の2・86%を占め、全人口に占める生活保護受給者の割合1・67%に比べ多く、格差が大きい。

 

■家族が変容 ひとり暮らしが増える

1986年には、高齢者世帯がわずか6%であったが16年には27%になった。

「平成28年国民生活基礎調査」によれば、平均世帯人員は、60年には4・14人であったが年々縮小。86年には3・22人、95年には2・91人、16年には2・47人となった。

 

世帯構造を65歳以上の者のいる世帯に限定してみると、合計で全世帯の48%の2417万世帯。

その内訳は、単独世帯が27%と全世帯と同程度。

夫婦のみ世帯が最も多く31%。

親と未婚の子のみの世帯が21%、三世代世帯はわずか11%、その他の世帯が10%となっている。

夫婦のみの世帯は将来の単独世帯候補である。

 

誰にも看取られずに死亡する「ひとり死」。

東京都監察医務院の統計等から全国で約3万人と推計される。

 

■要介護者等の7割が80歳以上

介護保険法は97年に制定、2000年から施行された。

老人医療費の増大、介護の長期化、家族が変容し家族介護が困難となり、介護の社会化へ移行。

最新の改正は17年。

 

介護保険法での「要支援」とは、日常生活に支援が必要な状態のこと。

「要介護」とは寝たきり、認知症等で介護が必要な状態のこと。

 

厚労省老健局によれば、要支援または要介護と認定された者の合計は569万人。

うち72万人が6574歳、497万人が75歳以上。

国民生活基礎調査によると、要支援者は30%、要介護者が67%となっている。

 

「要介護者等の年齢階級別構成割合」では4064歳4%、6569歳4%、7074歳8%、757915%、808425%、858924%、90歳以上21%、となっており、明らかに80歳以上から要介護リスクが高まっている。

 

要支援の原因は、関節疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒の順。

要介護の原因は、認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱の順。

 

近年は「介護離職」等、介護者の負担が社会問題を生んでいる。

 

介護者が事業者の場合は13%、別居の家族等が12%、同居者が59%と最も多い。

配偶者が25%、子が22%、子の配偶者が10%、父母やその他の親族が2%、不詳等16%。

介護者の高齢化も問題で、60代が33%、70代が25%、80歳以上も12%いる。

 

 

■増える高齢者の刑法犯検挙者割合

「平成28年の犯罪情勢」(警察庁)によると、刑法犯検挙人員は07年が約36万人であったのが年々減少し、16年は約23万人となった。

だが、65歳以上の者の割合は逆に増加。

07年が13%であったのが16年には21%まで増加。

窃盗(万引含む)が最も多く、暴行、傷害、占有離脱物横領、詐欺、強制わいせつ、脅迫、恐喝、強盗、殺人の順。

万引では検挙人員の45%が60歳以上となっている。

 

80歳以上の死者が6割を超す

80歳以上の死亡者が全死亡者の6割を超えた。

昭和初期であれば80歳を超えての死は全死亡者の5%前後に過ぎず、80の声を越すと「天寿をまっとうした」と言われたものだが、

今では95歳を超えてが「天寿」となった。

 

死亡の場所は、51年には病院等での死が12%、自宅死亡が83%と自宅死が普通であった。

だが、77年に病院等死が51%、自宅死49%と逆転。

16年には病院等死が76%、自宅死が13%、となっている。

近年増加しているのが老人施設での死で7%までになった。

今後は在宅看護・介護の増加もあって老人施設死、自宅死を合わせて2530%近くまで増加する見込み。

 

■「墓じまい」は増えているのか?

最近はテレビ話題で人気の「墓じまい」だが、ほんとうに増えているのだろうか。

 

「墓じまい」とは、これまでの家墓を改葬して、遺骨を跡継ぎ不要の永代供養墓(合葬墓)等に移すことを言う。

改葬数は04年までは年間6万件程度であったのが、15年には9万件に。10年で3万件増加したが、この間死亡者数も100万人から130万人に増加しているし、家族も変容しているので特に多い数字ではない。

 

増加が顕著なのは、遺骨の納骨にあたって従来の家墓形態から3分の1が90年頃より出てきた永代供養墓(合葬墓、合同墓)、樹木葬、散骨(自然葬)といった継承を前提としない葬りに移行していることである。

 

また明確に増加しているのは、地方の墓地で放置される墓。2~3割に迫る勢いだ。

 

超高齢社会は、高齢者の生活、終末期、死、死後の風景を明らかに変えている。

 

 

(注)単独世帯(単身世帯)については一般に「34.5%」と言われる。この数字と違う?という疑問をもたれた方もいよう。
34.5
%とあるのは「2015年国勢調査」の数字で、上に引用したのは「2016年国民生活基礎調査」の数字である。

調査も違えば、前提としているものが違う。

国民生活基礎調査の2015年の「単独世帯」は26.8%である。

2016年国民生活基礎調査」は以下参照。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/02.pdf

 

国勢調査では以下のように記されている。

 

平成27年国勢調査による10月1日現在の我が国の世帯数は53448685世帯となった。平成22年と比べると,1498181世帯増加している。 世帯の種類別にみると,一般世帯数は53331797世帯となり,一般世帯人員は1億 24296331人で,一般世帯の1世帯当たり人員は2.33人となっている。また,施設等 の世帯数は11万7千世帯となり,施設等の世帯人員は279万8千人となっている。

 

 一般世帯数の推移を平成7年以降についてみると,一貫して増加している。また, 一般世帯の1世帯当たり人員の推移をみると,一貫して減少しており,平成22年と比べると2.42人から2.33人に減少している。

一般世帯数を世帯人員別にみると,世帯人員が1人の世帯が1841万8千世帯(一般 世帯の34.5%)ともっとも多く,世帯人員が多くなるほど世帯数は少なくなっている。 平成22年と比べると,世帯人員が2人以下の世帯はいずれも増加しているのに対し, 3人以上の世帯はいずれも減少しており,特に6人以上の世帯は10%以上減少している。

 

国勢調査は「一般世帯」の「1人世帯=34.5%」としている。
国勢調査では

世帯の種類 国勢調査では,世帯を「一般世帯」と「施設等の世帯」の2種類に区分している。

「一般世帯」とは,「施設等の世帯」以外の世帯をいう。 

「施設等の世帯」とは,学校の寮・寄宿舎の学生・生徒,病院・療養所などの入院者,社会 施設の入所者,自衛隊の営舎内・艦船内の居住者,矯正施設の入所者などから成る世帯をいう。

と定義している。

あくまで施設等の世帯を除く一般世帯についてのデータである。

 

「平成27年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon1/pdf/gaiyou1.pdf

 

なお将来推計とされるのは国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口・世帯数」で、こちらは国勢調査の概念での「一般世帯」を対象としたものである。

『日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018(平成30)推計)

http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/t-page.asp

 

データを引用する場合、「単独世帯」「単身世帯」「1人世帯」と言葉の意味は同じであるが、引用によって概念、調査が違っていることに留意する必要がある。

 

放置墓についての一例

http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2015061900001.html

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3562/1.html

« 遺族のケアで考えるべきこと 「死別」ということ―葬祭サービスとは何か?③ | トップページ | 訃報 太田宏人さんのこと »

社会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/158357/66667405

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の「超高齢社会」の現状を大雑把に説明すると:

« 遺族のケアで考えるべきこと 「死別」ということ―葬祭サービスとは何か?③ | トップページ | 訃報 太田宏人さんのこと »

フォト
2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

仲間

ウェブページ